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 そういうと同時に左のジャブ2発が一連の音となって耳に届いた。続いて切れのある右のストレート。ダッキングして、相手の主な武器である右腕の外に身体をはずし重い左のボディフック、伸びあがるように重心が浮いたところで、逆に右の打ち下ろしのストレート。  5発のパンチがわずか1秒半ほどの瞬時に正確に放(はな)たれた。最後にジョージはサンドバッグを突き放し、敵の拳(こぶし)が届く危険な間合いから飛び離れた。ぎしぎしとサンドバッグが苦しげに揺れたが、ジョージは息を乱してもいなかった。  ダンベルのラックで見ていたトレイナーの若い男がやってくると声をかけてきた。 「いや、きみはすごいな。養成高校の生徒だろ。ここでおふざけでサンドバッグを叩(たた)くやつは多いけど、きみみたいな本格派はめったにいない。ジュニアライト級で世界を狙えるよ。本気だ。知りあいのジムに紹介してもいい」
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