秘められた熱

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「でも三木先生に見てもらってた小説、あれから進んでませんから。誰かさんのせいで、ずっと放置したままですよ」 『じゃあこれからはじめようか。どうせお前のことだ、彼氏いないんだし、ちょうどいいだろ』  どうしてだというコメントに、声を立てて笑ってしまった。お前の日常は、全部読ませてもらったからな。把握済みなんだよ。 『そんなの、お前のブログを読んでいれば一目瞭然だ。ばか者! 毎日楽しそうに、ひとりで過ごしているじゃないか』 「先生はカレシ(仮)が、再開されるんですね」 『もう先生じゃないし(仮)もいらないだろ。奈美、こっちにきて僕のお嫁さんになれ』  ちょっとだけ、ドキドキしながら書いてみた。  あの時は何とも思ってなかったから、スラスラ言えたのに、いざ書くとなると照れてしまう。 「相変わらずそういう大事なこと、文章にしちゃうのがイヤですよ。直接逢って言って欲しいです」 『文章で心を通わせるのが、僕たちの愛し方だと思ったから書いたんだけど。やっぱり直接、言わないとダメか・・・』  奈美を目の前にして、きちんと言えるだろうか。不安すぎるぞ自分。 「当たり前ですよ! ずっと待たせた上にこの仕打ちは、倍にして返しますから」 『我が侭は変わらないんだな。分かったよ、逢った時にちゃんと言うから、倍返しは勘弁してくれ』 「分かりました。でも太ってたら、振るかもしれませんので覚悟してください」  送られてきたメッセージを読み、自分の体型を改めてじぃっと見てみた。  太ってたら振る……現実になりそうな気がするじゃないか。この下腹を見たら、眩暈を起こして無理って言われちゃうかもしれない。  どうしよう、これからダイエットしなければ!
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