212人が本棚に入れています
本棚に追加
祭みやびは僕達の一学年上の高校三年生で、中学生のときに所属していた生徒会からの先輩だ。
非常に面倒見がよく物腰も穏やかで、僕もちはるも、公私共に散々お世話になった人物である。
現在は部活動にすら所属していない僕とは違い、相変わらず生徒会で忙しい祭先輩に、こちらから話しかけるわけにはいかなく、高校に進学してからはまともに会話することがなかった。
その先輩から頼み事をされたという話をちはるから聞いたのは、つい昨日。
個人的な感謝の気持ちと、もう一度話をしたいという思いから、普段は他人に関わることを嫌う僕も承諾したのだ。
「解りやすいねぇ。憧れの先輩にもう一度関わることが出来て、そんなに嬉しいんだ?」
「何を勘違いしているか知らないけど、あくまで純粋に慕っているだけだからな? お前、どれだけ先輩に庇ってもらったか、まさか忘れたんじゃないだろうな?」
「まあ、ね。祭先輩の頼みじゃ、私達に拒否権なんてないよね、うん」
「特にお前は余計なことに首を突っ込みまくっていたからな」
「いやあ、どうも物事を放っておけない性格だからねぇ」
何を照れているか知らないが、別に褒めたつもりはない。
正義感、とかいう理解不能なものを、この幼馴染が持っているものだから、皮肉を込めた言葉のつもりだった。
最初のコメントを投稿しよう!