深層ジェミニゾーン①

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   祭みやびは僕達の一学年上の高校三年生で、中学生のときに所属していた生徒会からの先輩だ。 非常に面倒見がよく物腰も穏やかで、僕もちはるも、公私共に散々お世話になった人物である。 現在は部活動にすら所属していない僕とは違い、相変わらず生徒会で忙しい祭先輩に、こちらから話しかけるわけにはいかなく、高校に進学してからはまともに会話することがなかった。 その先輩から頼み事をされたという話をちはるから聞いたのは、つい昨日。 個人的な感謝の気持ちと、もう一度話をしたいという思いから、普段は他人に関わることを嫌う僕も承諾したのだ。 「解りやすいねぇ。憧れの先輩にもう一度関わることが出来て、そんなに嬉しいんだ?」 「何を勘違いしているか知らないけど、あくまで純粋に慕っているだけだからな? お前、どれだけ先輩に庇ってもらったか、まさか忘れたんじゃないだろうな?」 「まあ、ね。祭先輩の頼みじゃ、私達に拒否権なんてないよね、うん」 「特にお前は余計なことに首を突っ込みまくっていたからな」 「いやあ、どうも物事を放っておけない性格だからねぇ」 何を照れているか知らないが、別に褒めたつもりはない。 正義感、とかいう理解不能なものを、この幼馴染が持っているものだから、皮肉を込めた言葉のつもりだった。    
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