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最後に、キリー。
ヤツギの話で室内が厳粛な雰囲気になったのをパーティらしく明るくしようとしてくれたのか、彼のギルドでの思い出話をしてくれた。
彼もヤツギの話を受けてか、笑い話というよりは魔物に囲まれていたところを仲間に助けられた経験や、親子の絆が奇跡をおこした心暖まる話など。
本当にここのギルドに所属してよかったぜ、と彼は主人公らしい、にかっとした笑い方をして話を終えた。
三者三様の話を聞いてみて、初対面の僕にもいろんな話をしてくれて、僕はいいギルドに見つけてもらえたんだなと入って一日目にして感動したのだった。
◇
―――しかし。
この暖かいムードが一変、地獄絵図になってしまうことを、僕たちはまだ知らない。
気づくべきだったんだ。
あのとき。ウィリシアから受け取ったコップに入った液体から、仄かに食パンのような香りがしていたことを……
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