助けて

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「はい、119番消防署です。火事ですか?救急ですか?」 まりこが電話を掛けるとすぐに男の声で答えてくれた。あまりに一瞬で電話に出るものだから、驚いてスマホを落としそうになった。 「えっと、えっと・・・」 「落ち着いてください。火事ですか?救急ですか?」 「えっと、えっと、おばあちゃんが大変なんです」 「大変?火事で火傷したんですか?病気ですか?」 要領を得ないまりこの答えにも、電話の向こうにいる男は根気強く問いかけた。 「あ、火事じゃないです。燃えてないです」 火傷と言う言葉から、火傷ではないとまりこは伝えたかった。ただ、この答えが功を奏した。男に救急であると結果伝わったからだ。そこからはアパートの住所を伝え、救急車を待つだけだ。 そして救急車は5分もしないうちにやってきた。
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