1章

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「え~」「え~、折角捕まえたのに~」 「だって~」  …この親子は三人揃って妙に間伸びした喋り方である。  一番間が伸びているのはリモーネと呼ばれた若い女性だ。  彼女はトロンとした目元をしているのもあって、とても眠たそうに見える。  もう一人は父親に似たぱっちりとした目をしている。瞳の色は灰色で、透けるような青い瞳をしているリモーネとは全然似ていない。  彼女達の二人が並んでいるだけでは誰も姉妹だとは思わないだろう。 「三人ともええ加減にせぇや」  キツイ口調でそう言った女性はリモーネと良く似ている。きっと彼女達の母親であろう。
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