1章

10/30
前へ
/445ページ
次へ
「…」  リモーネに担がれてきた青年は初めてこの部屋を見渡した。  顔を動かす度、肩口で切り揃えられた髪が揺れる。 (素っ気無い)  部屋の中央に卓袱台があり、壁には棚が備え付けてあるだけ。  縛られていた箇所を擦りながら、彼はそう思ったのだった。 「…」  娘が連れて来た少年を見つめながら彼女は考えていた。  彼の見た目はどうみても普通ではない。  髪は見事な銀髪で瞳は黄金色。それでいて眉毛は黒い。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加