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胸を押されて青年は落ちた。
手を伸ばしてみたが風を切るだけで何も掴めない。
そんな彼は虚しく、背中に強い風を受け声も出せずにひたすら落ちてゆく。
青い、青い空を―
落ちてゆく彼の周りを白い何かが包み込んでいた。それは遠くから見れば、隕石が尾を引いて落ちているようにも見えた。
白いそれは彼の背中から零れ、伸ばした手を通り抜け空を、舞う。
彼から白い羽根のようなものが零れていくほど彼の体は小さくなっていく。
バラバラと羽根のようなものが抜け落ちきる前に、彼の体は森に飲み込まれた。
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