1章

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ガサ、ガサ、ガサ、ガサ  枝が、葉がー彼の肌を傷つけ、赤いスジが肌を這う。  伸ばしていた手で何とか枝を掴み、彼は落ちゆくのを食い止めた。  ほっと安心した途端― バキッ  軽い音を立て、枝が折れた。 「えっ?」  戸惑う彼を無視するかのように、木々は素知らぬ顔をしていた。  彼はその木からあっけなく落ち、他の木の太い枝に勢い良く頭をぶつけ、気を失った。 カサ、ガサ、ザワワ  そんな彼を笑うかのように木々が揺れた。
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