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だが、由奈は唸るばかりで一向に起きる気配がない。
仕方なく、由奈を階段わきに寝かせると男を抱え、おぶろうとする。
しかし…
「おもてぇ…」
大人一人分の重さは、男とはいえ元来もやしっ子であった弥には持ち上がげることが出来ず、おぶる事すら出来そうにない。
「こんな時…ルーンブレードがいれば…」
悔しさに奥歯を噛み締め、無理矢理にでもおぶろうと力をこめる。
「チキショー!!!」
それでも動かない。
一度諦めようとしたその時、
「はひぃ…はひぃ…全く…年寄りに無茶させおって…」
階段上から息を激しくこらせ、康介が追いついて来た。
「じいさん!ナイスタイミングだ!
手伝ってくれ!」
「はひぃ…はひぃ…まっておれっ…」
康介はゆっくり階段を降りると男を弥の背中にのせ、その場にへたり込む。
「助かったぜ!じいさん。
じいさんは由奈を頼む!!ぬぉぉぉ??」
弥は全身の力を振り絞り立ち上がる。
「はひぃ…はひぃ…わかった。
先に行けい!
少し休んだから連れてくわい!」
弥はうんと頷き、階段を駆け登って行った。
「本当…最近の若いやつは年寄りに鞭うつわい…」
康介はぶつぶつとつぶやきながら、ゆっくり立ち上がると由奈をおぶり、ゆっくり階段を上がるのであった。
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