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それから数日後の事、弥達が生活している廃病院の回りに一人の男が現れる。
「ここに戻って来てしまったな…」
ボサボサの髪…
ヒゲも伸びきった白衣の男。
男はフラフラと入り口に歩み寄り倒れる。
〝くっ…あの化け物はいない様だな…
あれを…あれを手に入れねば…奴らに対抗……〟
男は匍匐前進の様に這いずり、階段付近で気を失った。
「さて、今日は何をつくるかのう!
玲奈さんはまだお粥じゃろうな。弥は……ほむ!?」
〝なっ!何故じゃ…
何故見慣れぬ男が倒れているのじゃ!?〟
たまたま階段付近を歩いていた康介は、目を丸くしたたずむ。
「う…うぅ…」
〝まだ生きとる!こりゃあ弥達を呼んでこねば!!〟
康介は慌てて弥達のいる二階の病室へと向かうのであった。
「大変じゃ!人がたおれておる!弥!由奈ちゃん!」
そう叫びながら、玲奈の病室の扉を開く。
「大変じゃ!わた…ひぃ!?」
「くっ………」
康介が見たものは、寝ている玲奈の顔にかけられた白い布と今にも泣きそうな弥の姿だった。
「そ…そんな…死んでもうたのか?」
ワナワナと震える弥は何も答えずただうつむいている。
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