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小さな店の中に明かりを入れる窓はひとつしかなかった。
通りに面した壁に、三枚のガラスが並ぶ大きめの窓。真ん中はステンドグラスで両隣は曇りガラスというそれは、直射日光が入るのを防ぎ真夏の強い日差しさえ柔らかなものにしてしまう。
明るさを制限された店内は、本棚のある奥は薄暗く窓際付近はやんわり明るい。全体的に空気のトーンが落ち着いているここは、いかにも古書店らしかった。
古書を劣化から守る為なのだろうか……と考え、しかし窓際に飾られたアンティークの瓶などを眺めていると、ただそうしたかっただけなのか?とも考えた。
――きっとこのステンドグラスもアンティークなんだろうなぁ……。
「で、この皿もアンティーク?」
「えっ?良く分かりましたね、二宮さん」
大きな目を更に大きくし、麻衣はプチトマトを口に入れる。もぐもぐと咀嚼する口元が小動物の様でなんだか可愛らしい。見惚れそうになって慌てて視線を下に降ろした。
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