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「実は私もちょっとカオスかなぁって思ってたんです。趣味に走り過ぎたかも、なんて」
柔らかな日差しを頬に受けていた麻衣のそこがほのかに赤くなった。食事をする手を休め、ゆっくり店内を見やる。愛おしさを含ませた彼女の瞳がぐるりと辺りを周遊し、
「でも、二宮さんが気に入ってくれたなら……良かった」
言葉と共にぼくの所に戻って来た。
「似てるんでしょうか、私達」
「僕に似てる事にされたら麻衣ちゃんが気の毒だよ」
「何でですか?」
「親友には“異世界トラベラー”って言われてるから」
「?」
「一つの事に没頭しちゃうと周りが全く見えなくなるのが僕の悪い癖なんだ。アイツはそんな時の僕をそう言って皮肉ってる」
キョトンとした表情を見せた麻衣は次の瞬間吹き出した。くすくす笑いながら「分かるかも」と言う。
「確かに、はたから見てるとどこか違う世界に行っちゃってる様に見えますね。お友達、すごいです。ピッタリな表現!」
「え?ちょっと待ってよ……なんで麻衣ちゃんまで」
「二宮さん、ここで本読んでる時いつもそうですよ?私が時々話しかけても全く反応無くて」
「……嘘だろ……」
マジか。彼女が話しかけてくれてたなんて。
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