1.last

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一瞬、夢かと思った。 けどその直後、現実なんだって悟った。 “もう、治療法は臓器移植しかない” 昨日の晩、主治医だった先生にそう告げられた。 先にその話を聞かされていたらしいお父さんとお母さんは、泣いていたんだって…すぐにわかる程真っ赤な目をしていた。 この病院に入院してどれくらい経つだろう。 けど、一向に検査値は良くならなくて。 もしかしたら…って、予想はしてた。 覚悟はできてたんだ…。 それなのに… いざ正面切って言われると、辛いな。 医者の言葉だから、実感が湧かなくても現実味がありすぎる。 一緒に頑張りましょうって言われた時は、まだ諦めないって。 そう思えたけど。 法律が改正されたとはいえ、15歳以下の臓器移植の症例はまだまだ少ない。 。 それに加え、ドナーが見つかる可能性もほんのわずかで。 それは医者にどうにかできる問題じゃなくて… ああ、もう無理なんだって… 誰も何も言わない診察室で、ただただ涙が溢れた。 拭っても拭っても、きりがない。 曖昧にできていた予想も覚悟も、この涙を止める役には全然立たなかった。
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