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それから数時間後
「では準備はいいですね?失敗しても後悔はしませんね?」
「失敗してもどの道消えるんだ、後悔なんてしない。」
そう、今更後悔なんてない、どの道消えるならやるだけやって消えてやる。
「では…、異世界転送、行きますっ!!」
閻魔がそういって俺に手を向け力を込める素振りをすると、俺の体が足元から徐々に消え始める。
不思議とこのまま無に帰ってしまうのでは、という恐怖はなかった。
肩辺りまで消えた頃、最後になるかもしれないので閻魔と話す事にした。
「絶対あいつに会って右ストレート決めるために行ってくる。短い間だったが本当に何から何まで世話になったな。んじゃ…」
と言った所で俺の視界が消えた、というより真っ黒になってしまった。
最後まで言えなかったか…。まぁいい、やれるだけやってくるよ。
ーーーーーーーーーーーー
青年が去ったあと、1人の美女が何もないただ真っ白な空間に立っていた。
その美女はフフッと微笑んだが、その顔はどこか少し寂しそうにも見えた。
「ちゃんと聴こえてましたよ…。」
静かに呟く美女
「ありがとう、なんて久々に言われました。」
楽しそうな声でそういうと美女は体を翻し何もない白い空間に溶けてゆく。
そうして誰もいなくなった白い空間には、誰かが零した小さな雫の後だけが残っていた。
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