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軽くウェーブのかかった細い糸の様な物。それには見覚えがある、あの閻魔の髪の毛だ。
まさかこれが体の不備?
男で金髪ロングウェーブか…
「ハハッ、笑える!」
そう声を出した時、更なる違和感が俺を襲う。
「…高い?」
そう、声が異様に高いのだ。
例えるならそう、若いアイドルの女の子ような声だった。
「待て待て待て待て」
どうやらパニクったとき、同じ言葉を4回繰り返すのが俺の癖だったらしい、だが今はそんなことはいい。
「男でこんな声とか不備すぎんだろ…」
自分から発せられる可愛い声と不釣り合いな言葉使い。
「馬鹿にされること間違い無しじゃねぇか!!」
小高い何も無い丘の頂上、可愛らしい声で叫びながら立ち上がる変態がいた。っていうか俺がいた。
しかしそんな俺の状態を知ってか知らずか、勢いよく立ち上がった際に更なる違和感が俺を襲う。
胸部がなにか引っ張られるような、揺れるような感覚があった。
おいおいおいおい
冗談じゃねえぞ
俺は一瞬で自分の体に起きている事を把握し、確認のために勢いよくズボンの、パンツの中を確かめる。
「不備ところか体の作り丸々変わってんじゃねえか閻魔の野郎!!!」
野郎ではありません!と空耳が聴こえたがどうでもいい。
なぜだ、なぜこうなった。
何故俺はーー
「女になってんだぁぁぁぁ!!!」
またも可愛いらしい声で、1人で叫ぶ怪しい人物の姿が丘の頂上にはあった。お察しの通り俺だった。
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