第二章

4/19
前へ
/29ページ
次へ
どうすんだよこれ… 風呂とかトイレとかその他諸々! 俺向こうで17年生きてた間ですら女体なんて触ったこと無えんだよ! とんでもねえもん渡してくれてんじゃねえよあのダ女神め!! とそんな感じで俺が脳内で閻魔の野郎に文句を垂れまくっていた時だった。 「君!大丈夫!?」 俺の目の前にアッシュグレーのウルフヘアに赤い目をしたイケメンが立っていた。 「へ!?」 思わず挙動不審になる俺。 「さっき叫ぶような悲鳴が聴こえて急いで来たんだ!」 叫ぶような悲鳴…? ってまさかあれ聞かれてたのか? でも悲鳴ってことは内容までは聞こえてない感じかな? 「君、大丈夫?」 黙っている俺を不審に思ったのか男が再び尋ねてくる。 「あっ、あぁ、大丈夫です。なにか怖い夢を見て…。」 俺の体の現状も怖い夢であったならどれほど嬉しいやら。 「夢?こんなところで寝ていたのかい?」 当然の疑問を男が投げかけてくる。 「え、えぇ。」 だかそんな当然な疑問すら、パニックで想定していなかった俺はしどろもどろになる。 「変わってるね、君名前は?どこから来たの?」 再び投げかけられる質問。 どうする、どう乗りきる。 道具やカバンの類をなに一つ持っていないので『旅』というのは通用しないだろう。 どうする俺…! ダメだパニックでいい案が思い浮かばない!しらばっくれるしかない。 「な、なにも覚えてないんだ」 「覚えてない?何も?」 「え、えぇ。気がついたらそこで寝ていて」 「そうなんだ…、記憶喪失なのかな?」 男は信じてくれたようだった なんだかうまく行きそうだな このまま適当に乗り切るしかないな! そう思い俺は適当に話を広げる。 「何もわからない。さっきの怖い夢、なんだか思い出すのが恐い。」 「もしかしたら何かのショックが原因で記憶喪失になって、その原因の夢をみていたのかもしれないね…。」 男が勝手に解釈をしてくれた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加