116人が本棚に入れています
本棚に追加
「とにかく、こんなひと気のないところで君見たいな可愛い子が1人で居るのは危険だし、うちのギルドで一時的に保護してもらうから一緒に街までいこう。」
男から可愛い子といわれた事で鳥肌がたったがそれはまぁいい。閻魔から貰った知識によれば、ギルドというのは依頼を受け、それをこなし、達成報酬をもらう。という形で成り立っている何でも屋みたいなものらしい。
それにしても、この知らない青年について行くのも若干不安ではあるが、初めて来た世界、この青年以外に頼れる人もいないのでついて行くことにしよう。
「よろしく…、お願いします。」
俺は小さい声で伝えた。
「僕の名前はテオ、テオ・マクシーム。よろしくね?」
青年が笑顔で握手を求めて来たので、恐る恐るその手を握り返すと、青年は困った顔で言う。
「知らない人から急に握手求められても、怖がるのも無理ないよね。…よし、でも丁度手も繋いでるし転移で一気に街まで行こうか!」
青年がそういった瞬間、俺の視界はグニャっと歪んだ。
何が起きたのか、それを把握する前に視界の歪みはなくなり、目の前には青年がたったままで変化は無かった。
しかし、青年より後ろに広がる景色だけが全く異なっていた。
そこは街の広場らしきところだった。石畳の地面、レンガで建てられた建造物の数々、中世のヨーロッパの様な衣服に身を包む人々、大声を出して客の呼び込みをして居る露店商人。
これがこの世界では当たり前なのだろう。しかし、自分には異様に思えた。不快感を覚える異様さではない。
街の景観はとても綺麗だし、自動車などの喧騒も無く、行き交う馬車の音や、小鳥の囀りや馬の嘶き、人々の活気溢れる声も何処か落ち着くもので世界に魅了される、そんな異様さ。
「うわぁ…!」
思わず感嘆の声が漏れる。
最初のコメントを投稿しよう!