第二章

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「いい街だろ?見覚えはあるかい?」 すっかり存在を忘れていたテオから質問を投げかけられる。 「残念ながら見覚えはない。けど、すっごく素敵な街だね!」 思わず笑顔でテオの方に振り返って答えた。 しかしテオは顔赤くしてすぐ後ろを向いてしまった。 「そ、そう言ってもらえて良かったよ!あ、あっちに僕が所属しているギルドがあるんだ!行こうか!」 何故か吃るテオを不思議に思いながらも、スタスタと歩いていくテオを追いかけるのだった。 しかし歩く事数分、俺には不満があった。 テオの歩調が早いため、俺は常に小走りの状態で疲れてしまっていた。 いや、それだけじゃない。テオや街の人をみて薄々感じていたが、どうやら女になったことで俺の身長は縮んでしまっているらしい。 それにどうやら体力も落ちているようだった。だが女になった事を考えていると気分が落ち込むのでテオのせいにしてしまうことにしよう。 「て、テオ…もう少しゆっくり歩いてくれない?」 「ご、ごめん、気付かなくて!」 はぁはぁと息を切らす俺を見て、テオは心底申し訳なさそうに謝った。 「でももう着いたよ、中に椅子があるからそこで休憩しようか。」 と、テオがある建物を指差しながら言った。 テオに向けていた視線をテオが指差す方向へ移す。そこにはレンガの建物だらけの中で異彩を放つ、西部劇に出てくるような二階建ての木造建物があった。 玄関は西部劇そのままの左右の二枚がパタパタと開くウェスタンドアが採用されている。 そしてその玄関の軒の上には大きい看板に、これまたデカデカとした文字で【神の涙】を意味する文字が書かれていた。
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