序章

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なぜ、なぜだ? 自問自答する。 いま俺の眼前には大型トラックが凄まじいスピードで迫っている。ついさっきまで目の前に広がっていた景色はこんなモノじゃなかったはずだ。 そう、さっきまで広がっていた景色。 親友の遠野や木村と、三浦先輩の悪口で話に花を咲かせつつ、高校から自宅へ帰る途中だった。いつもの道をいつも通りいつもの3人で帰っている、そんな景色。 いつも通りじゃなくなる事件が起こったのは、そんないつもの景色の中からだった。 俺達が大通りの交差点で信号につかまり、立ち止まっていると、信号を挟んだ対面から、小さな犬が繋がれたリードを地面に波打たせ勢いよく駆けてくる。 その後ろには飼い主であろう、小学生くらいの少女が犬の名前らしきものを叫びながら懸命に追いかけていた。 しかし犬はその静止も聞かず、車が行き交う大通りに勢いそのままに飛び出したのだ。
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