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「つまり、つまりだ。俺も異世界とやらに行けば生き返れる、ということだな?」
思わず興奮してしまい鼻息も荒くなる。
「ええ、そうです。そうなんですが何しろ前例がありません。なので確実に生き返れるという保証はありません。失敗すればそれこそ無に帰ること、つまり消えてしまうことになります。」
でもやらなくても消えるんだろ?だったら道は一つじゃないか
俺は意を決し、閻魔を見据える
「それでも構わない、やらせてくれ。」
「わかりました。しかし、理から外れた原因である彼と同じ世界が1番成功の可能性が高いので再び巻き込まれてしまうかもしれませんよ?」
またあの男に会えるかもしれないだと?面白いじゃないか。あいつの髪型、髪色、背格好、後ろ姿。どれも脳裏に焼き付いている、忘れるはずもない。
「好都合だ、見つけたら…、右ストレートでぶっ飛ばしてやる。」
恐らく今俺は人生で一番悪い顔をしているだろう。
「その異世界は所謂剣と魔法の世界です。今のあなたのままでは直ぐに魔物にやられて死んでしまうでしょう。」
「だめだ、あいつを殴るまでは死ねない。そのための右手だ。」
即答する俺に閻魔は苦笑いで話を続ける。
「私からあなたに力を授けましょう、目を閉じて下さい。」
柔らかい笑みで閻魔がそういうので、俺は大人しく従う事にした。
目を瞑ってすぐ、閻魔が俺の頭を挟む様に両手を添えた。
「っっっ!!?」
その瞬間激痛が走った。
生来感じた事のないほどの痛みに思わず声にならない悲鳴がでる。
しかしその激痛も一瞬で引いていく。
「目を開けていいですよ」
その声にゆっくりと目を開いた。
「あなたに私の魔力と能力の一部を与えました。使い方を練習しておきましょうか」
俺は黙って頷き閻魔の指示を仰いだ。
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