3人が本棚に入れています
本棚に追加
「なるほどなるほど。さすがゲーム脳。合理的な考え方だ」
「ゲーム脳言うな」
「駄目か?」
「廃人脳と言え」
「……より酷くなっているような気が」
まあ、本人がそれでいいのなら気にする必要もないのかな。
と言うわけで俺達は魔王城へと向かうのだった。
ちなみにナギの言う通り、本当にモンスターには遭遇しなかった。
安全なフィールドだ。
魔王フィールドなのに。
魔王城の全体像が見えてくる距離になると、城下町も見えるようになってきた。
マップデータを確認すると、『魔王直轄予定地』と表示されている。
「街の名前は後から決められるみたいだな。今のうちに何にするか考えておいた方がいいぞ」
「うーん。いきなり言われてもな~……」
街の名前、と言われても困る。
つけてみたい気持ちはあるけれど、だからといっていきなり思いつけるようなものでもないし。
街並みは他のエリアと変わらない。
現実離れしたファンタジー風。
「どうせなら和風か中華風だったらいいのに」
色々なヴァージョンの街はあったけれど、和風や中華風の街はまだ見かけていない。
ナギからもそんな街があるという報告は聞いていないから、まだLO内には存在していないのだろう。
「あるみたいだぞ」
「え?」
街のウィンドウを弄っていたナギが言う。
「ほら」
魔王直轄地の設定が可能になっている。
名前や街のヴァージョンをいくつか選べるらしい。
中世ヨーロッパ風、アメリカ風、和風、中華風など、様々なヴァージョンがある。
遺跡風や、遊牧民テント風というものまであってちょっとビックリした。
この中から選べるらしい。
選んだもの以外は無駄になるというのに、ゲームデザイナーもよくやるよな。
……まあ、選ばれなかったものは今後のアップデートで再利用されるのだろうけど。
「あ、これがいいな。京都風。寺院とか五重塔とかある」
「……そう言えばキョウって京都マニアだっけ」
「マニアじゃないよ。旅行にはちょくちょく行くけど」
「マニアじゃん」
「違う」
京都の街並みはかなり好きだ。
歩いているだけで楽しい街、京都。
最初のコメントを投稿しよう!