第1章

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「なるほどなるほど。さすがゲーム脳。合理的な考え方だ」 「ゲーム脳言うな」 「駄目か?」 「廃人脳と言え」 「……より酷くなっているような気が」  まあ、本人がそれでいいのなら気にする必要もないのかな。  と言うわけで俺達は魔王城へと向かうのだった。  ちなみにナギの言う通り、本当にモンスターには遭遇しなかった。  安全なフィールドだ。  魔王フィールドなのに。  魔王城の全体像が見えてくる距離になると、城下町も見えるようになってきた。  マップデータを確認すると、『魔王直轄予定地』と表示されている。 「街の名前は後から決められるみたいだな。今のうちに何にするか考えておいた方がいいぞ」 「うーん。いきなり言われてもな~……」  街の名前、と言われても困る。  つけてみたい気持ちはあるけれど、だからといっていきなり思いつけるようなものでもないし。  街並みは他のエリアと変わらない。  現実離れしたファンタジー風。 「どうせなら和風か中華風だったらいいのに」  色々なヴァージョンの街はあったけれど、和風や中華風の街はまだ見かけていない。  ナギからもそんな街があるという報告は聞いていないから、まだLO内には存在していないのだろう。 「あるみたいだぞ」 「え?」  街のウィンドウを弄っていたナギが言う。 「ほら」  魔王直轄地の設定が可能になっている。  名前や街のヴァージョンをいくつか選べるらしい。  中世ヨーロッパ風、アメリカ風、和風、中華風など、様々なヴァージョンがある。  遺跡風や、遊牧民テント風というものまであってちょっとビックリした。  この中から選べるらしい。  選んだもの以外は無駄になるというのに、ゲームデザイナーもよくやるよな。  ……まあ、選ばれなかったものは今後のアップデートで再利用されるのだろうけど。 「あ、これがいいな。京都風。寺院とか五重塔とかある」 「……そう言えばキョウって京都マニアだっけ」 「マニアじゃないよ。旅行にはちょくちょく行くけど」 「マニアじゃん」 「違う」  京都の街並みはかなり好きだ。  歩いているだけで楽しい街、京都。
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