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「どうかしましたか?」
「いや。普通、制約があるんじゃないか。何の説明もなしに、願い事なんて。例えば、叶えられるのは三つまでとか・・・」
「そんな事ですか?あまり、気にしないでください。昔なら、三つまでと制約を設けていたでしょうが、時代は変わりました。上限がある訳でもありません。いくらでも、願いは叶えます」
魔人は大らかな表情で言う。
どういう事情なのか分からないが、願いを叶えてくれるというのだ。そんな有り難い話はない。
Y氏はさっそく、自分が欲しいと思っているモノを口にした。金、物、人など自分の欲求に従い魔人に次から次へと注文した。百個ぐらい注文したところで、さすがに、一度に叶えるのは無理かなと思った。多くのモノを注文された魔人は笑みを浮か、指先を一回鳴らしてみせた。すると、どうだろうか。一瞬にしてY氏が注文したモノ、全てが一挙に出現した。さすがに、部屋に収まりきらない一部の品は外に置かれた。
「これは、すごい・・・」
神秘、奇跡としか言いようがないことにY氏は歓喜した。魔人は上限はないと言っていた。これからは、一生、何もしなくても生活していける。どんなモノでも魔人は出してくれるのだから。
「あの」
Y氏が喜んでいるところで魔人が語りかけてきた。振り返ると、魔人は一通りの注文が終わったのにも関わらずランプに戻らず、Y氏の部屋にいた。
「どうした?ランプに戻っていいんだぞ」
「いえ・・・。そうではなく・・・」
魔人はY氏に両手を差し出していた。何をしたいのか、Y氏が首をかしげていると、魔人は笑みを崩さずに言った。
「お代の方をいただきたいのですが」
魔人の言葉にY氏は驚いた。
「お、お代だと!」
「はい」
「お代って、願い事は全て、無料じゃないのか?」
「そんな訳、ありません。私は願われたモノの実現と運搬を賄っただけでして、実現費用は別です。ちなみに、日本のルートに直しますと」
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