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悲しかった
父と行った他の人は何人か帰ってきているのに
何故、何故……何故父なんだ?
俺は恨んだ
村の父と一緒に行った人達を、国を、そして一緒に戦場へ行くことの出来なかった幼い自分を
けれども生きるためにはその感情など捨てなければならなかった
母が倒れたのだ
父が死んだと告げられた時、1番悲しんだであろう母は俺なんかよりもすぐ、動いた
少しでも父の代わりになるように今まで以上に働き始めたのだ
一方、俺はずっと父の死を悔やんで下を向いて生活してきた
今思うと母にはどれほど見苦しく見えていただろう
そんな生活が半年ほど続いたある日、働き詰めだった母は疲労で倒れたのだ
俺は母が倒れるまで何故気づかなかったんだろう
「母さん、ごめんなさい…俺がっ…もっと、しっかりしていれば…っごめんなさい」
母の傍で母の手を握り、父の時と同じようにひたすら悔いた
「ウェル…悲しいと、悔しいと思うならば止まるんじゃなくて進みなさい。前を見て、歯を食いしばって、しっかり歩くんだよ」
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