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「…あーあ。美胡ちゃん、月斗なんかに捕まっちゃって…かわいそー!離してあげたら?」
浜谷さんは、これでもか、っていうくらい、しつこく私と月斗さんの仲を離そうとする。
それに、カチンときた私は、
「いいんです!私が月斗さんのこと好きなんですから!これから先、月斗さん以外なんて好きになりません!余計なお世話ですぅ!」
私は月斗さんが反論する前に、自分の口でそう言った。
最後には、あっかんべーも付けて。
すると、私の真剣さが伝わったのか、浜谷さんは、
「アッハハハハ!!おっもしろいねぇ!マジウケる!つか、本人目の前にしてそれ言える人、なかなかいないわぁ!」
と、大爆笑された。
そして、やっと笑いが止まったかと思いきや、少し寂しそうな顔に変わり、
「…本当はさぁ?香帆さんが、女の人のことあんなに褒めるなんて、今までなかったから……相手の女、どんな風に月斗と香帆さんを丸め込んだんだろうなぁ?と思って、見に来たんだよね。」
浜谷さんは、「アレだよ。あの牽制ってヤツ?」なんておどけている。
「…そしたら、結構可愛いんだもん。香帆さんが認めるのも分かる気がしたんだよね。……でも、」
そこで一旦区切り、浜谷さんは、はぁ、と溜息をつく。
「やっぱり、長年佐々倉家に付き添った俺としては、もしかして月斗の本当の姿を見てないんじゃないか、とかさ、考えちゃったんだよねー。」
浜谷さんは苦笑いで、「バカだよね、俺。月斗が選んだ人なんだから、そんな事あるはずないのに。」なんて言っている。
月斗さんは、ジッと浜谷さんのことを見ている。
それは、軽蔑とかじゃなく、私には感謝に感じられた。
そうして、私は口を開く。
「…でも、それは月斗さんが大切だからですよね?」
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