チョコレート

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わたしの身体はチョコレートの力をもらっている。 もちろん、それは比喩で、体がチョコレートから力をもらっているなど、普通は考えにくい。 けれど、わたしの身体はチョコレートの力をもらっていると言える。 「ねぇねぇ!あたしのポーチどっかいっちゃったの!探してくんない?」 クラスメイトの派手組の女子だ。 顔の前に手を合わせてお願いしてくる。 そう。ここでわたしの出番なのだ。 「いいよ。どこら辺でなくした?」 わたしは席から立ち上がり、派手女からポーチの行方を訊く。 「んーとねぇ…体育で着替えた後になくなったから、更衣室ぐらいかなぁ?」 派手女は、可愛くもない顔を傾けながら答える。 「わかった。…ちょっと待って。」 わたしは制服のポケットから、いつも常備している“チョコレート”を取り出す。 そして、それを口に入れる。 チョコレートの甘みと苦味が、交互に口の中で分散されて… わたしは派手女に向き直り、 「更衣室じゃなくて体育館だよ、落としたのは。あなたは、体育のバレーで髪が崩れたから、体育館にポーチを持って行った。そして、次の授業の移動でバタバタしている内に、体育館にポーチを置きっ放しにしてしまった。」 いくつかの情報の元、そう推理した。 ……簡単すぎて、話にもならない。
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