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ちょっとだけ不貞腐れてそう言うと、永井くんは、 「『上原のだから、いい。』発言。何度も言わせたやつ。」 「あぁ!そっち!」 「…天然。」 永井くんの呆れた顔に、またもやムッとする私。 「で?それがな………」 突然遮られた言葉。 私は驚きの余り、何の反応も出来ない。 ゆっくりと永井くんの顔が離れていく。 「なんか、上原って見かけによらず鈍感で、天然で……」 「面倒くさいから、キスしちゃった。」なんて。 もう、頭がついていかない。 しかも、周りの生徒は皆私達に釘付け。 そりゃそうでしょう。 廊下のど真ん中でキスだよ? 誰でもビックリするでしょう。 だから、された張本人なんて、ビックリなんてもんじゃないよね? 冷静な頭と違い、身体の方はどんどん熱くなってくる。 「赤い。可愛い。」 ニコリと不敵に微笑む永井くん。 貴方も見かけによらず、強引ですけど…… 「ね。もうそろそろその顔止めよ?」 「は?」 「他の男が集まり出した。その顔見ていいのは、俺だけでしょ?」 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」 何処か楽しそな永井くんは、満足そうに微笑む。 そして、私の手を掴み、 「はーい、ちゅーもくー!」 いきなり大声で叫び始めた永井くんは、 「コレ、俺のだから、手ぇださないでね?」 そう言って、私の指と永井くんの指を絡み合わせる。
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