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派手女は「ありがとー!助かったわー!」とか言いながら、体育館へと走って行った。
わたしはそっと溜息をつく。
こんな事になるんだったら、チョコレートなんて食べなきゃ良かった…
それは、3週間前に遡る。
わたしは、友達が持って来ていたお菓子のチョコレートをお裾分けしてもらった。
「それ、新作チョコレートなんだよ~!」
口の中に入れた途端、チョコレートの甘みと苦味が交互に溶け、分散していく。
そんな幸せな味で終わる筈だった。
「あっれ~?おかしいなぁ…」
チョコレートをくれた友達が、鞄をゴソゴソと漁り始める。
「どうしたの?」
周りにいた友達も気になったのか、声をかける。
「ん~?ココに入れた筈の財布がなくなってて…」
“財布”
その単語には、とてつもない威力があるらしい。
「えっ?ヤバくない?」
「もっとちゃんと探した方がいいよ!」
「そうそう!私達も手伝うからさ!」
慌てて友達の財布を探し始めたみんなを傍観している時だった。
「…スカートの左ポケット」
「え?」
急に頭の中がスッキリしたかと思うと、次の瞬間、そんな言葉が思い浮かんだ。
友達は、すぐにスカートの左ポケットを探る。
そして、
「あったー!?」
なんと見つかったのだ、財布が。
友達は、
「ありがとー!焦ったー!…でも、何でわかったの?」
不思議そうな顔でわたしを見てくる。
そんなの、こっちだって聞きたい。
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