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一青零司の姿が薄っすらとスキニーパンツの女の姿と重なり、私はそっと目を伏せ消えろと念じる。
彼女もああやって、死んでしまうのかも……それを決めるのは……私達……。
『こちらでランダムで選出しましたご両名を牢から出し、拘束しました。まだその順ではない他の方々の牢には何もしておりません。南京錠も変えておりません。そのままでございます。以上で報告を終了致します』
ぷつんとフランス人形の声は切れ、また静寂が生まれた。
準備完了。
何も訂正するところはない。
他の誰もが口を閉ざしているのは私と同じだからだろう。
もういつでも始めていい。
それもわかっている。わかっているから誰もが、喋れない、動けない、動く事が出来ない。
一ミリでも動けば、その先にある薄い生と、濃ゆい死が待ち構えているのをわかっているからだ。
と、数十秒後か数分後に、ポロシャツの男が身をよじった。
ぎしりと鳴るチョコレート色の椅子と布が擦れる音に私達は顏を上げる。
少しの音で注目を集めてしまうほどにこの部屋は耳鳴りが煩いくらいに静寂に包まれていた。
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