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担任の先生が言っていたとおり、二学期が始まってすぐ、文化祭実行委員が召集された。
数人の先生がサポート教員として取りまとめをしてくれる。
その中に先生もいた。
少し前なら、この偶然に心躍っていたのに、今は苦々しいんだから恋は不思議だ。
「羽村、大丈夫?」
伊達めがねにモシャ髪の学校仕様になった柴田君が、隣から小さく尋ねてきた。
「大丈夫。もう全然平気」
「でもお前、なんか……」
「もう、終わったことだから」
もの言いたげな柴田君を笑顔で遮った。
薄皮一枚でかろうじて保護している心では少しの刺激も命取りで、早めに切り上げたかった。
三役の紹介や担当決めの間、私だけに投げかけられている視線をたまに感じたけれど、そこに顔を向けることは出来なくて。
隣の柴田君の手だとか、プリントを睨みつけて、胸を抑えつけていた。
ふいに、柴田君が私の腕を掴んで手を挙げさせる。
びっくりして隣を見ると、柴田君自身も手を挙げていて。
「他に希望者は?
………はい、じゃあ今手を挙げた3人と美術部がパンフレットと校内装飾担当でお願いします。
じゃあ次ーーー」
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