第1章

3/39
232人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
担任の先生が言っていたとおり、二学期が始まってすぐ、文化祭実行委員が召集された。 数人の先生がサポート教員として取りまとめをしてくれる。 その中に先生もいた。   少し前なら、この偶然に心躍っていたのに、今は苦々しいんだから恋は不思議だ。 「羽村、大丈夫?」 伊達めがねにモシャ髪の学校仕様になった柴田君が、隣から小さく尋ねてきた。 「大丈夫。もう全然平気」 「でもお前、なんか……」   「もう、終わったことだから」 もの言いたげな柴田君を笑顔で遮った。 薄皮一枚でかろうじて保護している心では少しの刺激も命取りで、早めに切り上げたかった。 三役の紹介や担当決めの間、私だけに投げかけられている視線をたまに感じたけれど、そこに顔を向けることは出来なくて。 隣の柴田君の手だとか、プリントを睨みつけて、胸を抑えつけていた。 ふいに、柴田君が私の腕を掴んで手を挙げさせる。 びっくりして隣を見ると、柴田君自身も手を挙げていて。 「他に希望者は? ………はい、じゃあ今手を挙げた3人と美術部がパンフレットと校内装飾担当でお願いします。 じゃあ次ーーー」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!