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びっくりして柴田君の顔を伺うと。
「………知らない人間と一緒より、
俺と行動するほうが少しはましだろ?
お前、人見知りだし」
頬杖をついて、仏頂面で黒板を見たままぼそりと呟いた。
「……あり、がと」
返事はなかったけど、それが彼なりの精一杯の励ましってことが分かる。
張りつめていた気持ちが少し、ほぐれた。
ほどなくして解散した会。
一斉に教室から廊下へと人が流れる。
私も柴田君に続き、教室を出ると。
「郁ちゃん!」
「采女。あれ?部活は?」
切迫した表情の采女が私を待っていたようで、両腕を掴む。
「リカちゃんのこと、ちょっと分かったの」
「リカって、佐々木?」
柴田君の言葉に静かに頷く。
夏休み、有弥さんとのことは、采女にも報告していて。
それがきっかけで采女と柴田君3人で過ごすことが多くなった。
「ここじゃ誰が聞いてるか分からないから……」
「うん、どこか外で話そう」
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