第1章

6/39
232人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
* 「………ある意味、半端ない豪邸だな」 采女の自宅………神社の鳥居前であんぐりと口を開けて立ち尽くす柴田君。 「そんなことないわ。 実際住んでるところなんて端だけだし。 敷地内を、いつも他人がウロウロしてるなんて、家とは呼べないでしょう?」 事も無げにさらりと言う采女に続いて敷地内を歩く。 私も数回来たことがあるけれど、いつ来ても荘厳な雰囲気に圧倒されてしまう。 「どうぞ。お好きなところに」 私たちを部屋に通すと、采女は直ぐに出て行った。 「二階堂って、いつもああなの?」 「?」 「バカ丁寧な話し方。肩凝るんだけど」 「あぁ、慣れればもう少し砕けるよ」 片眉を下げて、困ったように頬をかく柴田君が可愛くて思わず笑ってしまった。 「………羽村、あのさ………」 「お待たせいたしました。 ……あら、私タイミング悪かった?」 飲み物の乗ったお盆を手に、部屋に戻ってきた采女が、私と柴田君を交互に見る。 何か言おうとしていた柴田君だけど、ふーっと息をついて首を振った。 「ーーーそれで? 佐々木のこと、何がわかったわけ?」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!