232人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
*
「………ある意味、半端ない豪邸だな」
采女の自宅………神社の鳥居前であんぐりと口を開けて立ち尽くす柴田君。
「そんなことないわ。
実際住んでるところなんて端だけだし。
敷地内を、いつも他人がウロウロしてるなんて、家とは呼べないでしょう?」
事も無げにさらりと言う采女に続いて敷地内を歩く。
私も数回来たことがあるけれど、いつ来ても荘厳な雰囲気に圧倒されてしまう。
「どうぞ。お好きなところに」
私たちを部屋に通すと、采女は直ぐに出て行った。
「二階堂って、いつもああなの?」
「?」
「バカ丁寧な話し方。肩凝るんだけど」
「あぁ、慣れればもう少し砕けるよ」
片眉を下げて、困ったように頬をかく柴田君が可愛くて思わず笑ってしまった。
「………羽村、あのさ………」
「お待たせいたしました。
……あら、私タイミング悪かった?」
飲み物の乗ったお盆を手に、部屋に戻ってきた采女が、私と柴田君を交互に見る。
何か言おうとしていた柴田君だけど、ふーっと息をついて首を振った。
「ーーーそれで?
佐々木のこと、何がわかったわけ?」
最初のコメントを投稿しよう!