紡ぐ者

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テーブルの上にあり合わせの料理を並べた ベーコンとツナを野菜で蒸した物に冷奴に焼き魚 大したことない物なのに藤堂君は 「うまそう!!」 と、箸を持ってくれている 「休む日だよって言ったのに」 藤堂君はお皿を出したり何かと動いてくれた 「俺がしたかったからいいの」 さっきも洗濯機が止まった音を聞いてハンガーや物干しを運んでいた 「本当に大丈夫?」 「大丈夫!!これで雪野の飯食ったら完治だね」 …そんな単純な事じゃないと思うけど 食べ物を前に屈託なく笑った藤堂君を見ていると 昨日のは何だったんだろうと思ってしまう 「元気になってよかった」 藤堂君に聞こえないように呟いた 「何?」 微妙に聞こえていたらしい 首を傾げた藤堂君を見てクスッと笑った 「何でもない、食べよっか」 私達はあり合わせを前に手を合わせた
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