紡ぐ者

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一緒に食卓を囲んで「美味しい」って食べてくれる人がいる 幸せってこんな事なのかな 他に女はいるけど まぁそれは今となればどうでもいい 不特定多数の女に甘い言葉をささやいているのかどうかは知らないけれど 昨日言ってくれた…嘘のない瞳で言ってくれた あの言葉だけで十分 サラダに乗せたゆで卵を頬張る藤堂君を見て ふふっ…と笑った 「何?」 口をモグモグとさせながら藤堂君は聞いてくる 「昔と変わらないな…って」 藤堂君はその『昔』が分からないらしく頭上に?マークを着けている 「分からなくていいよ」 そう言うと私はまた、ふふっ…と笑った これはきっと私の生涯の秘密だ
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