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目を覚ますと、藤堂君の腕の中にいた
どうやら昨日はそのまま寝てしまったらしい
顔を上げると、安らかな藤堂君の寝顔が飛び込んで来た
恥ずかしくなって慌てて顔を沈める
波打つ鼓動を落ち着かせながら、ゆっくりと顔を上げると、少年のような寝顔に懐かしさを覚えて、ほっとしてしまう
強張っていた私の力は抜けているが、体勢は夜のまま
藤堂君はそんな私とは裏腹に、私を強く抱き締めて離そうとしない
一体この寝顔がどこから来るのか知りたいくらいだ
その様子が可笑しくて
「ふふっ…」
と笑った
すると…うっすらと藤堂君の目が開いた
さっきの笑で起こしてしまったらしい
私は息を殺して腕の中でじっと耐える
目線だけ上に上げると、しょぼしょぼと開けて閉じてを繰り返した目は突如カッと見開いた
真下を見てこの状況を理解したらい
目線だけ上げていた状態で目が合い、何とも微妙な雰囲気だ
「おっ…おはよう」
ぎこちなく藤堂君が朝の挨拶をしてきたので
「おはよう」
と、私もぎこちなく返した
「俺…寝てた?」
「うん…寝てた」
と返すもまたぎこちなく、暫くすると体が熱くなり始め
藤堂君は
「あああああああっ!!!!」
と叫ぶと私をはね除けて飛び起きた
「…理性と戦ってくる…」
と修行僧の様な顔になりキッチンへ向かったので
その姿を見て今度は
「はははっ!!」
と腹を抱えて笑った
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