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「後…彼氏さんとは仲良くいて下さい、上海行くからって別れるような相手なら俺、許しませんから」
「そうならないようにするね」
未だ自信はないけれど、藤堂君とならきっと大丈夫
「いつか追い付きますから」
自信たっぷりに言う滝本君に私も気を引き締めた
「待ってるから、追い越されない程度に」
そう言うと、滝本君は勢いよく
「はいっ!!」
と言って笑った
『間もなく…3番線…』
ホームにアナウンスが流れ鈍い音と共に電車が止まった
「じゃぁ、また明日」
「また明日」
お互いそう言って手を振ると私は電車に乗った
「雪野さん、ありがとうございました」
体育会系特有の声がホーム十に響き渡り回りの視線を集めたのは言うまでもない
けれど、そんな所も滝本君のいいところ
滝本君が顔を上げると笑っていた
まるで、部活の大会が終わった後のように清々しく
「ありがとう」
私も負けじとお腹の底から声を出した所で
『プシュー…』
音を立ててドアが閉まった
動く車内からホームを見るといつもの様に滝本君が立っていて
いつもの様に小さくなると、やがて見えなくなった
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