紡ぐ者

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昼からは人事に呼び出され、行ってみると頼んであった新人研修用テキストの中国語訳を渡された 杏さんやスタッフの喜ぶ顔が目に浮かぶ 人事に頭を下げると直ぐ様上海行きの宅配を手配した スマホにメッセージが入る 送信元は一橋さん、開店準備の進行状況の確認でだ 私は画面をタップし、現状を報告し、最後に来月から現地に異動になった事を付け足した 一橋さんからの返事は意外な程早く 『そっちへ行く事はよくあるから、よろしくね』 と書いてあった 喜んでくれているのかどうかは分からないけれど、私にとっては心強いビジネスパートナーと言ったとこだろう 実際一橋さんがいなかったらここまでやれなかった 色々あって、動揺して…藤堂君の事を深く知れた それも一橋さんのお陰かな 『こちらこそよろしくお願いします』 一呼吸置くと、気持ちを込めて送信を押した
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