紡ぐ者

39/97
前へ
/543ページ
次へ
今日も朝から猛暑日の予報 満員電車を避けたのにも変わらず汗が吹き出す デスクに着くとエアコンの涼に浸った …いつまで続くんだろうと先の長い夏にうんざりしてしまいそうになる が…それも後1ヶ月… まぁ向こうへ行っても変わらないと思うけれど多少なりと期待してしまう 日めくりのカレンダーは今日も暑く私を迎えてくれた これは向こうへ持って行こう 色んな意味で暑さは続く 気合いを入れてから、ふっと息を吐いた 冷えたカフェオレ片手にスマホを開く 画面には藤堂君からのメッセージ 朝、部屋を出ようとした時に入って来た 内容は「おはよう」の後に続いて「夜会える?」 滅多に入って来ない藤堂君からのメッセージにテンションが上がった 読み返してにやけてしまう 「おっちゃんの店で待ってるね」 とにやけた顔を隠しながら返事を送った 「おはようございます!!」 後ろから威勢のいい声が響いて来た 「彼氏からですか」 私の顔を覗きながら滝本君が膨れっ面で笑った 「えっ…う…ん」 「顔に書いてありますよ」 「!!」 覆っていた手で更に顔を隠す 「幸せそうで安心しました」 「そっ…そうでも…!!」 誤魔化そうと否定すると 「意地張らなくてもいいですよ、まぁ素直じゃない雪野さんも可愛いですけど」 と、滝本君は悪戯っぽく笑った
/543ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1568人が本棚に入れています
本棚に追加