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退院からしばらく見ていなかっただけなのに、母は急に老け込み少し痩せていた。
あの年齢に比べ美しかった肌は荒れてかさつき、若く見られていた美貌が、なんだか過去の栄光でしかないように思われた。
細かった手足はさらに細くなり、綺麗だった手ですら筋ばって見える。
『華道や茶道は、いつも手を見られているから、綺麗にしていないとダメなの。見苦しくないようにしていないとね』
昔、そんなことを言いながら、ハンドクリームを塗り込んでいたっけ…
(なのに…たった数ヵ月で…なんで?)
母は僅かな期間だと言うのに、その頼りなげな足で時間を誰よりも早く駆け抜けたのだろうか?
目にあれほど感じた力はなく、目の前で微笑む女性が“母親”なのかと疑いたくなるほどだ。
私の中の、逃げ出したかった母親像とはかけ離れており、『本当に母さんなの?』と聞いてしまいたくなる言葉を飲み込み、少なからずショックを受ける自分に驚いたくらいだ。
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