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私は急いで付き合っている彼に電話をした。
「…それでね…。お父さんが帰ってきてくれって…」
この時の私は内心期待していた。
この電話を聞いて、どこかに『帰るな』と言ってくれることを…。
そして慌てて私のもとに駆け付け、『結婚しよう』と言ってくれることを…。
私を救い出してくれる手を、彼ならさしのべてくれることを…
『そうか。なら仕方ないな。俺たちも…別れよう』
「えっ…そん…な…」
(仕方ない…別れる?)
あまりにもあっさりした彼の言葉に、私はただ耳を疑った。
『だってそうだろ?それに、遠距離恋愛とか、俺には無理だし…おまえも、その方が後腐れなくていいだろ?引越しくらいは手伝ってやるよ』
愛してくれていると信じていた私に対しての想いとは…
結局はその程度のものだったのか…
「は…ははは…そ…だね…はははは…」
恋なんて…こんな薄っぺらいものだったのか…
なあ~んだ。
彼とのこんな脆く簡単に崩れる関係にすがろうとした私がバカだったと言うことか…
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