琥珀色の媚薬

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… 「せんぱいと、加納さんってお似合いですよね!羨ましいなぁ」 安心したのか、柳さんは珍しく饒舌になった 「そぅかな?」 「はいっ!凄く羨ましい…晃さん… っ、かっ課長は…掴みどころがなくて こんな関係になっても不安なんです」 晃さん…って呼んでるんだ。 私なんかより、ずっと柳さんの方が あの人に近い存在なんだ。 「課長のこと、名前で呼んでるんだ?」 「はぃ。こうゆう話しって、なんだか照れますね」 彼女は嬉しそうに課長の事を話す 作り笑いを浮かべて 胸の奥の痛みを堪えた 私は自分の気持ちが分からない 亮介くんが居るのに… 課長と柳さんの関係に嫉妬してる 私は…ズルい。 「そうね。照れるよね」 「藤井せんぱいと、こうゆう話しできて私嬉しいです」 柳さんの、素直な笑みに また、胸の奥がキリキリと痛んだ 「…ほら、仕事中よ。 そろそろ戻らないと…」 彼女は 慌てて時計を確認し 軽く頭を下げて部屋を出て行った 課長に包まれていた手をギュッと握りしめると フワッと温もりが蘇った気がした
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