揺れるリンゴ

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「ヒトリで帰れる。」 「イチ、送るよ?」 吉崎くんが私を諭すように語りかけてくれるから わざわざ亮介君を呼び出して迷惑かけるくらいなら 吉崎くんに甘えようかな… じゃー…お願いしようかな と言いかけたところで スマホの着信音が 鳴り響いた ♪~~♪~~ 「この微妙な曲って 衣千香のじゃない?」 !? 「ごめん!マナーモードにしてなかった」 慌てて鞄からスマホを取り出すと タイミングがいいのか悪いのか 亮介君。 スマホを握りしめていると 隣から新田ちゃんが私の手元を覗き込んだ 音速の貴公子ならぬご令嬢な勢いでそれを抜き取り 「もしもしー! 衣千香の友達の新田です」 「えぇ!そうです。総務課の。はい。」 「先日はありがとうございました すごく美味しかったですぅー」 「はぃ。駅前です」 さすが音速のご令嬢 会話のテンポも早く 亮介君との会話が進んでいるようだ 進んで? フワッ 頭に優しく手を置かれ 「大丈夫?」 心配そうに吉崎くんが訊ねてくれる 「ぅん。」
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