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「キス......」
「えっ!?」
「してほしかった?」
思ったことを口に出していたのだろうか...?
「顔真っ赤!こんな場所じゃムードもないしね。」
「あ、え、や、あの...」
今の僕を形容するなら狼狽という言葉がピッタリだろう。
「ゴメンゴメン!意地悪が過ぎたね。これさ、僕が1年の時に使ってたもの。もう、使わないから葉月にあげる。
だから葉月のネクタイは僕が預かるよ。これなら少しは結べると嬉しいな。」
「あ、ありがとうございます...」
思わずネクタイを見つめる。
本当は結べないんじゃなくて、このネクタイを結びたくないことを知っているのだろうか...
そうであったとしても、そうでなかったとしても、僕は先輩の気持ちが素直に嬉しかった。
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