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「なんだか、お守りみたい...大切に使いますね!」
僕の精一杯の思い、伝わっただろうか...
僕の物より若干色褪せた臙脂色。
誇らしげに襟元に収まっているのがなんだかくすぐったい。
思わず口元が綻ぶ。
「喜んでもらえて何より。」
史也先輩の綺麗な笑顔も、なんだかいつもより甘い気がするのは気のせいだろうか。
「.........」
ーーーえ?
今...え?...は?...ええっ!?
「ご馳走様!」
触れるだけの感触が唇に残る...
僕はこれから毎朝、先輩のネクタイを見るたびに、あの悪戯っ子みたいな笑顔を思い出してドキドキするのだろう。
ちゃんと結べるようになるのはまだまだ先になるんじゃないかな......
<了>
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