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ピンポーン
しんと静まり返った部屋に、呼び鈴の音が響いた。
ピンポーン
少し間が空いて、もう1度。
俺は掛け布団を頭まで被り、MP3プレーヤーのイヤフォンを耳に押し込んだ。
「羽根山くん、小山内(おさない)だけど」
トントンと玄関の扉をノックする音が聞こえて来る。
「羽根山く……」
ボリュームを上げ、外の世界との関わりを謝絶する。
聴いていたのはロックで社会批判をするような激しい内容の歌詞だった。
ガンガンに頭の中で響くドラムの音が俺をここではない違う世界に導いてくれる。
少しうるさいくらいがちょうどいい。
あいつ……また来た。
音楽に身を委ねながら、頭の隅でそんなことを思った。
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