短い旅の終わり

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「せっかくだから、工場も見ていこうよ。」 再び豊は私の手を引き、人が群がるガラスの前へと私を連れて行く。 豊に手を引かれながら、ふと私の脳裏にこんな事が過った。 もし、この手を引くのがアヤだったら・・・? そう想像しただけで心拍数が上がってしまう。 だけど目を輝かせて私の手を引く豊の顔を見て、すぐに私は我に返った。 豊は友達だから、こうやって手を引かれても何とも思わない。 でも、アヤだって“友達”のはずなのに・・・。 この違いは何故生じるのだろうか。 豊もアヤも、この3日間同じチームで旅をしてきた仲間である事に変わりはない。 アヤとの付き合いの方が少しだけ長いけど、1ヶ月の差なんて大した差ではないのに。 どうして、アヤの事だけをこんなに意識しているのだろう・・・。
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