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「おい、・・・大丈夫か?」
豊は床に転んだ男の子に手を貸し、優しく声を掛けた。
「・・・ごめんなさい。
アイス、ぐちゃぐちゃになっちゃった・・・。」
泣きそうな顔をして謝る男の子に、豊は再び優しく声を掛ける。
「大丈夫だ。
ソフトクリームはまた買ってくればいい。
それより、どこか痛い所はないかい?」
彼はこくりと頷き、床に落ちたソフトクリームに視線をやった。
「うん、大丈夫。
ねぇ、ママに頼んでまたアイス買ってきてあげるよ。」
素直な眼差しでそう告げて走り出そうとする彼を止め、豊は微笑みながらこう言った。
「代わりはいらないよ。
だけどまたぶつかったら危ないから、もうよそ見して走っちゃダメだぞ?」
男の子は「うん」と言って頷き、落ちたクリームに再び視線をやりながら私たちに手を振り去って行った。
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