第一章

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その光景に、騎士一同は固まった。本当に、これは兄弟喧嘩なのか。明らかな殺意がリオンにはある。 「俺は、お前を許すつもりは微塵も無い。ただ、謝罪する暇があるなら山賊を殺しに行け」 「お前…今、本気で…」 「さっき言ったろ。俺が殺したいのはお前だ。だが、殺しはしない。でも、死なない程度に恨みは返す」 騎士達は愕然とするしか無かった。その中でも、ハロルドはレオンの傷を心配しながら、治療に専念している。 「あの山に、三十人程の山賊がいる。手を貸せ、リリスの…村人の仇を討つ」 山間の村から、北を向き尾根の曲がった先を指差す。 しかし、レオンの答えは否だった。 「悪いが、我々だけでは多勢に無勢。また日を改め、討伐を行う」 そのレオンの言葉に、リオンは軽蔑する様に冷めた目を向ける。 「…さすが、裏切り者だな。故郷を捨てると、そういう考え方になるのか…」 弟の本気の軽蔑に、レオンは少し焦りを見せる。 「ち、違う。関係無い彼等まで、危険に巻き込む事は出来ない。確実に討伐出来る様に、兵を集めてからでも…」 彼の言いたい事は分かるが、そんな理屈はリオンには通用しない。 「関係無いだと、お前等がしっかりしてれば、村は襲われ無かった」
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