245人が本棚に入れています
本棚に追加
その光景に、騎士一同は固まった。本当に、これは兄弟喧嘩なのか。明らかな殺意がリオンにはある。
「俺は、お前を許すつもりは微塵も無い。ただ、謝罪する暇があるなら山賊を殺しに行け」
「お前…今、本気で…」
「さっき言ったろ。俺が殺したいのはお前だ。だが、殺しはしない。でも、死なない程度に恨みは返す」
騎士達は愕然とするしか無かった。その中でも、ハロルドはレオンの傷を心配しながら、治療に専念している。
「あの山に、三十人程の山賊がいる。手を貸せ、リリスの…村人の仇を討つ」
山間の村から、北を向き尾根の曲がった先を指差す。
しかし、レオンの答えは否だった。
「悪いが、我々だけでは多勢に無勢。また日を改め、討伐を行う」
そのレオンの言葉に、リオンは軽蔑する様に冷めた目を向ける。
「…さすが、裏切り者だな。故郷を捨てると、そういう考え方になるのか…」
弟の本気の軽蔑に、レオンは少し焦りを見せる。
「ち、違う。関係無い彼等まで、危険に巻き込む事は出来ない。確実に討伐出来る様に、兵を集めてからでも…」
彼の言いたい事は分かるが、そんな理屈はリオンには通用しない。
「関係無いだと、お前等がしっかりしてれば、村は襲われ無かった」
最初のコメントを投稿しよう!