第一章

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そうだ。あの日、リオンとリリスの結婚式に伴って、兵も混ざり杯を交わしていた。本来の職務を疎かにして、警備も手薄だった。 それ以前に、腹立たしいのは 「聞けば、南の海賊には兵を割いていた。だが、クラビスには、たった四人だ。しかも、俺より弱い弱卒ばかり…お前等の失敗でなきゃ、なんなんだ。責任を果たせ、タダ飯食らいが!」 これには騎士達が血相を変えて、反論する。 「今の言葉、無礼であろう!」 「我等の仲間は、命を賭して戦っている。そんな騎士を侮辱する事は許さん」 「そうだ。我等とて、休む間も無く参上したのだ」 言いたい事は分かる。分かるが、頑張ったところで結果が最悪なのだ。 「なら、なんでクラビスは後回しになった。とっくに討伐依頼は出した筈だ。海賊退治の前にな。今、クラビスは壊滅している。役立たずをタダ飯食らいと言って何が悪い。……まぁ…そもそも、お前なんかが隊長やらなきゃ駄目なんだしな…無理もないか」 隊長レオンを馬鹿にした態度に、騎士達が剣を抜く。 「やっと、やる気になったか。行くぞ。山まで三時間ほどだ」 それを討伐意欲と捉え、最後の墓を埋め終わるとリオンは、一軒の家から盾とボーガンを持ち出してきた。
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