245人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
何やら怒っている様だが、そんな彼女の顔も可愛い。
パッチリとした大きな瞳に、垂れ気味の眉。ほんのり桃色に染まった頬。濃い金色の髪。
淡い青のワンピースに、エプロンが重ねられている。
そんな彼女が、怒っている理由を求めると、腰を折り曲げて顔を近付けてくる。
「どうしたのって、勉強教えてくれるんじゃ無かったの?」
そう言えば、と彼は思い出した表情をする。しかし、直ぐに
「あっ…ごめん。…でもさ。どっちにしろ今から家の手伝いがあるから、陽が傾き始めたら、家で待っててくれる?」
彼女に現実を伝え、妥協案を提示する。しかし、彼女の表情は不満そうだった。
「……いやよ」
表情通りの返事にリオンが困った顔で、次なる妥協案を探る。
「そう。なら、明日のお昼でいい?」
「いや」
面倒だ。約束を忘れた事に対して怒っているので、彼女にリオンの言葉は届かない。
「ごめん。リリス。僕が悪かった」
「そうね」
「……うん。本当にごめん。許しておくれ」
そう言って、顔の前で手を合わせる。リオンから顔を背け、目だけリオンに向けているリリス。
目を閉じているリオンの両頬を、リリスが両手で挟む。
「…ふぁに、ふぅるんば?」
「次、約束忘れたら、絶交だからね」
最初のコメントを投稿しよう!