第一章

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何やら怒っている様だが、そんな彼女の顔も可愛い。 パッチリとした大きな瞳に、垂れ気味の眉。ほんのり桃色に染まった頬。濃い金色の髪。 淡い青のワンピースに、エプロンが重ねられている。 そんな彼女が、怒っている理由を求めると、腰を折り曲げて顔を近付けてくる。 「どうしたのって、勉強教えてくれるんじゃ無かったの?」 そう言えば、と彼は思い出した表情をする。しかし、直ぐに 「あっ…ごめん。…でもさ。どっちにしろ今から家の手伝いがあるから、陽が傾き始めたら、家で待っててくれる?」 彼女に現実を伝え、妥協案を提示する。しかし、彼女の表情は不満そうだった。 「……いやよ」 表情通りの返事にリオンが困った顔で、次なる妥協案を探る。 「そう。なら、明日のお昼でいい?」 「いや」 面倒だ。約束を忘れた事に対して怒っているので、彼女にリオンの言葉は届かない。 「ごめん。リリス。僕が悪かった」 「そうね」 「……うん。本当にごめん。許しておくれ」 そう言って、顔の前で手を合わせる。リオンから顔を背け、目だけリオンに向けているリリス。 目を閉じているリオンの両頬を、リリスが両手で挟む。 「…ふぁに、ふぅるんば?」 「次、約束忘れたら、絶交だからね」
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